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家庭菜園でのスイカの育て方は?土づくりから栽培の手順、病害虫からコンパニオンプランツまで、失敗しないコツを徹底解説

家庭菜園でのスイカの育て方は?土づくりから栽培の手順、病害虫からコンパニオンプランツまで、失敗しないコツを徹底解説


|目次

■スイカはどんな野菜?
  ・スイカの種類
  ・スイカの生育条件
  ・スイカの旬の時期
■スイカの栽培から収穫までの手順
  ・プランターでのスイカの栽培に必要なもの
  ・スイカに適したプランターのサイズ
  ・土づくり
  ・苗の植え付け
  ・苗の植え付けポイント
  ・水やり
  ・摘芯
  ・スイカの仕立て方
  ・人工授粉
  ・スイカの収穫時期と収穫方法
■スイカの栽培で気を付けるべき主な病気について
  ・うどんこ病
  ・モザイク病
  ・炭疽病(たんそびょう)
  ・緑斑モザイク病
  ・褐色腐敗病
  ・つる枯病
  ・つる割病
■スイカの栽培で重要な害虫対策について
  ・アブラムシ
  ・ウリハムシ
  ・ハダニ
  ・ミナミキイロアザミウマ
■連作障害とコンパニオンプランツについて
■スイカの栽培で悩んだら、菜園アドバイザーに相談してみよう
■まとめ

スイカ

「果物的野菜」として分類されているスイカは夏の代表的な果物です。原産は熱帯アフリカの乾燥地帯で、紀元前4000年代にはすでに栽培されていたと言われています。畑で栽培するイメージを持たれるスイカですが、ご家庭のプランターでも育てることができます。
スイカは夏バテに効果があり、水分と糖分はもちろん、カリウムや抗酸化作用のあるβカロテン、リコピンやシトルリンなどを含んでいて栄養も豊富です。
この記事では、初心者でも簡単に育てられるスイカの栽培方法について詳しく解説します。

スイカはどんな野菜?


スイカはウリ科に属する一年生植物です。原産地は南アフリカのカラハリ砂漠で、4000年前には古代エジプト人が栽培していた記録が残っています。世界各地で栽培されるようになったのは16世紀ごろです。
シルクロードを通って西方より伝わったため、漢字では「西瓜」と表記されます。
水分や糖分が豊富で、βカロテン、リコピンやシトルリン、カリウムなどの栄養素も含まれていて、夏バテ防止にも効果的です。

・スイカの種類


スイカは、実のサイズによって「大玉スイカ」と「小玉スイカ」に分かれています。
大玉スイカは果実が大きく、果肉も柔らかくてジューシーです。
小玉スイカはサイズが1.5〜3kgと小さく、種も少なく甘みも強いのが特徴です。
品種はオーソドックスなもの以外にも、楕円形で皮が薄く甘みのあるマダーボール、四角の形が珍しい角形すいか、果皮が黄色くて果肉が赤色の太陽すいか、果皮が緑で果肉が黄色の黄色スイカなどバリエーションに富んでいます。

・スイカの生育条件


アフリカ原産のため、高温で日当たりがよく水はけのよい場所が適しています。
湿度の高い場所は苦手なので、梅雨の時期の湿気には注意が必要です。

・スイカの旬の時期


露地裁倍の入荷最盛期は6〜8月ですが、ハウス栽培のスイカも流通しているため、夏に限らず一年中スーパーなどで購入することができます。


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スイカの栽培から収穫までの手順


スイカは、熱帯気候に適応しており、水はけの良い肥沃な土壌で育てるのが理想的です。
種から育てるのは初心者にとって難しいため、市販の苗を利用することをおすすめします。
植え付けは地域によって異なりますが、高温期に育つスイカは、気温が高い5月頃に苗を植えるのが適しています。

・プランターでのスイカの栽培に必要なもの


家庭菜園でプランターでスイカを育てる場合、下記の準備が必要です。
・スイカの苗
・大型のプランター
・野菜用培養土
・鉢底石
・鉢底網
・園芸用シャベル
・園芸用ハサミ
・支柱
・ひも
・ネット(空中栽培の場合)

・スイカに適したプランターのサイズ


スイカをプランターで栽培する場合は、2.5kg〜3kg前後の小型の品種がおすすめです。代表的な品種は愛娘、紅こだま、マダーボールなどがあります。土が25〜30ℓ入る大型のプランターが必要で、小玉系では45cm以上のワイドプランター、大玉系では75cm以上が理想的です。
プランターには1株を植えます。

・土づくり


スイカは湿度に弱く、水はけのよい土を好みます。野菜用培養土を園芸専門店やホームセンターで手に入れましょう。土壌は弱酸性~中性で、pH 5.0〜6.5程度が理想的です。元肥を多く与えると「つるぼけ」を起こし、着果や玉の肥大が悪くなるため、注意が必要です。

・苗の植え付け


スイカを種から育てる場合、温度や湿度の管理が必要になるため、初心者には苗から育てることがおすすめです。苗の植え付けは、5月上旬から6月上旬までに行うのが良いでしょう。スイカの苗は、園芸専門店やホームセンターで手に入ります。
良い苗を選ぶためには、以下のポイントをチェックしましょう。

・厚く大きい本葉が4〜5枚出ている
・根がしっかり張っていて、株元がぐらついていない
・葉につやがある
・節と節の間が詰まっている
・病気や害虫の被害を受けていない
・葉が小さいものや、密集して生えている苗は避ける

スイカの苗

・苗の植え付けポイント


スイカはウリ科の野菜なので、畑で育てる際は前作にウリ科の野菜が栽培されていないか確認する必要があります。植え付けは最低気温が10℃以上、最低地温が15℃以上の時期に行い、地植えの場合は黒マルチをかけて保温と雑草予防をしましょう。また、十分に暖かくなってから定植することが重要です。植え付け前に、直径50cm程度の円形に土を盛った「床」をつくり、株と株の間を1m程度空けて植え付けるとよいです。特に冷涼地では、晩霜に備えてホットキャップをかぶせることも必要です。

下記の動画は畑の栽培ですが、苗の選び方から土作り、病害虫対策まで参考になります。
家庭菜園や農園のスイカ栽培2023年始め方完全ガイド!栽培スケジュールとおすすめ品種を徹底解説!【農園ライフ】


・水やり


露地栽培では、花が咲き始めるまでは1週間に1〜2回程度の水やりが必要です。一方、プランター栽培では土が乾燥しやすいため、毎日水やりが必要となります。開花までは涼しい時間帯に1日に1回、開花後から収穫が始まるまでは、朝と夕方の2回水やりをするとよいでしょう。ただし、スイカは多湿を嫌うため、用土の表面が乾いてから水やりを行うようにしましょう。水やり過ぎは、病害虫の発生につながることもありますので注意が必要です。

・摘芯


摘心とは、芽の先端を摘み取ることで、生長を促し、開花や結実を促進する作業のことです。摘心のほかに、ピンチや芯止めとも呼ばれています。
スイカの場合、摘心は本葉が6〜8枚程度ついた時点で、親づるの先端を切ることになります。この作業を行うことで、脇芽が出て子づるが伸びやすくなります。

・スイカの仕立て方


脇芽が出て子づるが伸びるため、4本以上出たら生育の良い子づるを2〜3本残し、他は切り取りましょう。
プランター栽培では四隅に支柱を立て、ネットに誘引すると限られたスペースを有効活用できます。また、スイカの実が重いため、結実後は荷重に耐えるためにネットで吊るすなどの対策が必要です。
地植えでは、子づる4本整枝2果どり、子づる4本整枝3果どりなどの方法があります。
子づる4本整枝2果どりは、主に大玉スイカの地植え栽培で用いられる方法で、子づるを4本残し、スイカを2個成熟させます。
子づる4本整枝3果どりは、主に小玉スイカの地植え栽培で用いられる方法で、子づるを4本残し、スイカを3個成熟させます。

スイカネット

・人工授粉


スイカを確実に結実させるには、人工授粉がおすすめです。まずは、雌花と雄花の見分け方を覚えておきましょう。雌花と雄花の見分け方は、蕾の下にある膨らみの有無です。この膨らみは、受粉後に実となって生長する場所となります。つまり、膨らみがあるものが雌花であり、ないものが雄花となります。雄花の中央に指で触れると花粉が付着します。
人工授粉は晴れた日の午前中の早い時間帯に行い、咲いたばかりの雄花の花弁を取り、花粉を雄花の柱頭につけます。受粉日を記録しておくことで、収穫日の目安となります。

小玉スイカ雄花

・スイカの収穫時期と収穫方法


スイカの収穫時期は、花が咲いてから30日以上経過すると、ソフトボールぐらいの大きさに生長します。開花後30日過ぎに「玉直し」と呼ばれる方法で地面についていた部分に日光を当てて均等に色づかせることが大切で、変形を予防するためにも必要です。
収穫までの日数は品種によって異なり、大玉スイカは45〜50日程度、小玉スイカは35〜40日程度が目安です。収穫の目安としては、表面が光沢を帯び、果梗部の産毛が薄くなって黄色がかってくるというサインが現れます。また、巻きひげが枯れてくるのも収穫の目安のひとつです。


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スイカの栽培で気を付けるべき主な病気について


スイカの栽培には、うどんこ病や炭疽病などの病気に対する注意が必要です。これらの病気に感染すると、収量が減少したり、品質が悪化することがあります。ここでは、スイカの主な病気であるうどんこ病、炭疽病、緑斑モザイク病、褐色腐敗病、つる枯病、つる割病について説明し、それらの予防と対策を紹介します。

・うどんこ病


葉の表面や裏面に白い丸い斑点が現れ、次第に拡大して葉全体を白く覆います。症状が進行すると、葉の縁が茶色く変色して枯れてしまいます。
密集植えを避け、風通しを良好に保つように心がけることで、病気の発生を予防できます。うどんこ病の原因となる菌は土壌中に潜伏しているため、感染が確認された畑は消毒を徹底しましょう。

・モザイク病


新しい葉や果皮に、葉緑素の斑点や色の変化が現れ、果柄にはまれに茶色い斑点が見られることがあります。重度の場合は、果肉にコンニャク状の固まりが生じることもあります。
モザイク病は、アブラムシによって感染することが多いです。アブラムシが感染した植物からスイカに移動し、スイカを吸汁することで感染します。そのため、アブラムシの防除が重要となります。
アブラムシが発生しやすい育苗期には、寒冷紗を被せたり、定植時にはシルバーポリマルチを使用することで、アブラムシの飛来を予防します。発病した植物は早めに除去し、発病した植物に触れた手で健康な植物に触れないように注意することも大切です。

・炭疽病(たんそびょう)


葉に小さな針のような斑点が現れ、やがて暗褐色の円形の病斑に広がります。これらが合体すると不規則な形状の褐色の病斑となり、穴があくこともあります。また、湿度が高いと病斑内に小さな黒点が現れたり、サーモンピンク色の胞子が形成されたりします。
高温多湿で排水の悪い環境が、この病気の発生を促進します。カビが茎や葉に残り、雨によって周囲に胞子が飛散することで感染が広がります。
発病した株は完全に除去し、水はけをよく保つように心がけましょう。また、ウリ科の野菜との連作を避け、施肥管理にも注意が必要です。植え付け前には圃場の消毒を行うことも大切です。

・緑斑モザイク病


葉に淡褐色の不規則なモザイク状の斑点が現れ、生長点付近の葉が細く立つようになる病気です。また、汁液によっても伝染するため、管理作業前には手を洗浄しましょう。病原体は土壌中にも生息するため、発病した畑では連作を避け、土壌消毒をすることが大切です。

・褐色腐敗病


葉に水が浸みたような、やや凹んだ暗緑色の円形の病斑が生じ、高湿度下では病斑上に汚白色のビロード状のカビが生え、軟化や腐敗が進行します。
病原菌が感染した植物や、周辺に落ちた葉などは速やかに取り除きましょう。また、窒素過多も病気を引き起こすため、適量の施肥を心がけることが大切です。
排水不良が発病を助長するので、水はけの良い畑づくりをしましょう。雨などで病原菌が飛散して感染するため、雨よけのトンネルやマルチ栽培などの対策をとりましょう。

・つる枯病


発病する部位は様々で、葉に発病した場合は不規則な灰褐色の斑点ができ、内部には多数の黒い点が見られます。茎に発病した場合は、淡褐色の斑点が生じ、ヤニが出たり、病斑部が割れたりすることがあります。症状が進行すると、株全体が枯死することがあります。
雨の続く時期には発症しやすくなるため、水はけには気を付けましょう。水やりの際は葉に水がかからないようにします。

・つる割病


初期段階では、葉が日中にしおれ、夕方回復する症状を繰り返します。茎からは赤褐色のヤニが分泌され、乾燥すると病斑部が割れるため「つる割病」と名付けられました。茎を切断してみると茶褐色に変色しており、症状が進行すると株全体が萎れて枯死に至ります。
キュウリやカボチャなど、ウリ科の作物との連作は避け、日当たりが良く通気性のよい場所で育てましょう。また、接ぎ木をした苗を植えることで発生を回避できます。

スイカの結実

スイカの栽培で重要な害虫対策について


スイカの栽培において、害虫対策は非常に重要です。害虫の被害にあうと収穫量の減少や品質低下を引き起こすことがあります。ここでは、アブラムシ、ウリハムシ、ハダニ、ミナミキイロアザミウマについての解説とそれらの予防策を紹介します。

・アブラムシ


アブラムシは体長は約0.5mmから3mm程度の小さな虫です。葉や茎を刺して栄養を吸い取ることができ、実にあらゆる植物に被害を与えます。また、非常に繁殖力が高く、対策を怠ると短期間で数を増やし、被害を拡大してしまうことがあります。
アブラムシはアリと共存関係にあるので、近くにアリの巣がある場合は除去しておきましょう。

・ウリハムシ


ウリハムシは、ウリ科の植物に被害を与える害虫です。成虫はオレンジ色で、体長は7mmから8mmほどですが、鮮やかな色合いのため目立ちます。
ウリハムシは、葉や果実を食べることで被害を与えます。被害が大きい場合、スイカの生育が阻害され、枯死することもあります。防虫ネットを設置することでウリハムシの侵入をある程度防ぐことができます。

・ハダニ


ハダニは、非常に小さく体長が1mm以下しかありません。野菜の葉の裏面に寄生し、植物の汁を吸って葉を枯らします。多少の汁を吸われても問題ありませんが、繁殖力が強く数が増えるにつれて被害が拡大し、最悪の場合は枯死に至る可能性があります。
日ごろから葉の裏をチェックしてハダニがついていないか確認しましょう。近くに雑草があるとハダニが繁殖しやすくなるので、周りに生えている雑草は除去しておきましょう。

・ミナミキイロアザミウマ


葉や茎から汁を吸うことで、スイカに深刻な被害をもたらすアザミウマの一種です。この害虫は、成虫だけでなく幼虫も植物を攻撃するため非常に厄介です。さらに、スイカの葉を白くしたり、茶色く変色させる病気を引き起こす原因となることがあるとされています。
対策として、天敵であるカメムシを利用した方法や、ビニールハウスの出入り口を寒冷紗で覆うことによって侵入を防ぐ方法があります。さらに、株元を太陽光をよく反射するマルチで保護することも、ミナミキイロアザミウマの発生を予防するために有効な方法です。


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連作障害とコンパニオンプランツについて


「連作障害」とは、同じ場所に同じ野菜を続けて栽培することが原因で起こる生育障害で、スイカの輪作年限は4〜5年とされています。この問題に対処するためには、「コンパニオンプランツ」を利用することが有効です。スイカと相性が良いコンパニオンプランツには、ネギ類、とうもろこし、オオムギ、マリーゴールドなどがあります。
ネギ類はつる割れ病にかかりにくくなり、マリーゴールドは厄介なアブラムシ対策に効果的なので特におすすめです。

畑のスイカ

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まとめ


ご家庭でできるスイカの栽培方法について解説しましたがいかがだったでしょうか。
スイカは栽培が比較的容易で初心者でも挑戦しやすく、正しい栽培知識や気をつけるべきポイントを理解することで、家庭菜園でもおいしいスイカを収穫することができます。
収穫量も多く、大人数で楽しむことができ、大きな果実ができるので達成感があることも魅力のひとつです。
スイカ好きの方ならぜひ一度スイカ栽培に挑戦してみることをおすすめします。
もし栽培に難しさを感じる場合は、アドバイザーのいるシェア畑を利用してみましょう。


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