とうもろこしを上手に栽培する方法。栽培で起こる疑問トラブルも詳しく解説
|目次
■とうもろこしはどんな野菜?
・とうもろこしの種類
・とうもろこしの生育条件
・とうもろこしの旬の時期
■とうもろこしの栽培から収穫までの手順
・プランターでのとうもろこしの栽培に必要なもの
・とうもろこしサイズに適したプランターのサイズ
・種から育てる場合
・苗から育てる場合
・土づくり
・とうもろこしの種まき・育苗の時期
・苗の植え付け
・とうもろこしの間引き
・追肥
・水やり
・とうもろこしの収穫時期と収穫方法
・とうもろこしの保存方法は?
■とうもろこしの栽培で気を付けるべき主な病気について
・黒穂病
・すす紋病
・さび病・南方さび病
・ごま葉枯病
・すじ萎縮病
・倒伏細菌病
・モザイク病
■とうもろこしの栽培で重要な害虫対策について
・メイガ
・オオタバコガ
・カメムシ
・ヨトウムシ
・アブラムシ
・ネキリムシ
・対処法
■連作障害とコンパニオンプランツについて
■とうもろこしの栽培で悩んだら、菜園アドバイザーに相談してみよう
■まとめ
甘味や食感からおやつとしても人気があるとうもろこし。露地栽培のイメージが強いとうもろこしですが、実はプランターでも十分に育てることができます。この記事では、初心者でもできるとうもろこしの栽培について詳しく紹介しつつ、注意すべき病気や害虫についても解説します。
とうもろこしはどんな野菜?
とうもろこしはトルティーヤやコーンフレークなど、世界的に主食として食べられるため「穀物」に分類されていますが、日本で一般的に出回っている「スイートコーン」という種類は、甘みが強く未熟の状態で食べられるため、野菜に分類されます。
スイートコーンは、ビタミンB1、B2、Eなどのビタミン群、リノール酸、食物繊維、そしてミネラルをバランスよく含んでいる栄養豊富な野菜で、小さい子どもから大人まで幅広く親しまれています。畑で育つイメージが強いとうもろこしですが、実はプランターでも十分に育てることができるのをご存知でしょうか?
・とうもろこしの種類
とうもろこしの主な種類は以下の通りです。
・甘味種(スイートコーン)
・硬粒種(フリントコーン)
・爆裂種(ポップコーン)
・馬歯種(デントコーン)
茹でたり焼いたりして食べる一般的な「とうもろこし」は、甘味種(スイートコーン)です。
スイートコーンは、さらに「ゴールデンコーン」「シルバーコーン」「バイカラーコーン」の3つの種類に分けられ、それぞれにたくさんの品種が存在します。
・ゴールデンコーン:ゴールドラッシュ、サニーショコラ、など
・ホワイトコーン:ピュアホワイト、雪の妖精、など
・バイカラーコーン:甘々娘(かんかんむすめ)、アンサンブル、など
いずれの品種も比較的育てやすいため、初めての場合でも味や見た目の好みで品種を選んでも失敗することが少ないのが特長です。
・とうもろこしの生育条件
とうもろこしは水はけと通気性の良い環境を好みます。高温や乾燥に強く、栄養分の少ないやせた土地でも育つため、育てやすい野菜であるといえるでしょう。ただし、スイートコーンは、他のとうもろこしの種類に比べて肥料を多く必要とするため、適切な肥培管理が欠かせません。
・とうもろこしの旬の時期
植え付け時期や天候・気候にもよりますが、とうもろこしの収穫時期は6月から9月頃です。流通市場ではとうもろこしは収穫後に適温で貯蔵されるため、一年を通して店頭に並んでいます。
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とうもろこしの栽培から収穫までの手順
家庭菜園でとうもろこしを育てるには、畑でもプランターでもどちらでも可能ですが、ここでは、ベランダなど限られたスペースで気軽に始められるプランターでの栽培方法について解説します。
・プランターでのとうもろこしの栽培に必要なもの
家庭菜園でプランターを使ってとうもろこしを育てる場合、下記の準備が必要です。
・とうもろこしの種(または苗)
・大型のプランター(サイズについては下記参照)
・支柱(60〜100cm程度)
・野菜用培養土
・鉢底石
・追肥用の肥料(油かすなど)
・とうもろこしサイズに適したプランターのサイズ
とうもろこしは深く根を張るため、大型かつ深型サイズのプランターが必要です。土がたっぷり入る25リットル以上の大型プランター(幅65cm × 奥行25cm × 深さ25cm程度)を使うと2株育てられます。
あまり浅いプランターに植え付けてしまうと、十分に根が張らず、生長を妨げてしまう可能性があるため適しません。
・種から育てる場合
1. プランターの底に、2cmの厚さになるまで鉢底石を入れ、その上にプランターの8分目の高さまで培養土を入れて平らにします。
2. 株間が20cmになるように、土に深さ2cm程度(指の第一関節ぐらい)の穴をあけます。
3. 2つの穴に3粒ずつ種をまいて土をかぶせ、たっぷりと水をやります。
・苗から育てる場合
ホームセンターなどで苗を購入する場合は、できるだけ生育状態が良い苗を選びましょう。病気にかかり枯れてしまったり、実着きが悪かったりという失敗を防ぐことができます。良い苗の選び方は以下の通りです。
[とうもろこしの良い苗の条件]
・新芽が傷んでいない
・葉が緑色で生き生きしており、虫に食べられていない
・本葉が数枚ついていて、子葉が枯れずについている
・茎が太く、葉と葉の間の茎の節間が狭い(徒長していない)
・ビニールポットの底の穴から根っこが出ていない
・根がしっかり張っておらず、倒れかかっていない
なお、複数の苗を購入する際には、異なる品種ではなく1つの品種で育てると良いでしょう。
とうもろこしは異なる品種を近くに植えてしまうと、「キセニア現象」が起こります。
これは、授粉するときに異なる品種の花粉が混ざりあうことで、1つのとうもろこしに色や味わいが異なる実が混ざり合い、結果として味を落としてしまいます。
家庭菜園で苗から栽培する際も、隣接した畑に異なる品種のとうもろこしが植えられてないか確認しましょう。
とうもろこしのキセニア現象について詳しくはこちらをご覧ください。
家庭菜園や農園でとうもろこし栽培が失敗する原因!キセニア現象とは!?失敗しないトウモロコシの育て方を徹底解説!【農園ライフ】
・土づくり
一般的に販売されている野菜用培養土を使用すれば元肥は不要です。
種まきや苗植えの1〜2週間前までに、土づくりをしておくのが理想的です。
・とうもろこしの種まき・育苗の時期
発芽に適した気温は25〜30℃、生育には20℃〜とされているため、育てる地域の気温に合わせて種まきや苗植えを行いましょう。
下記の動画は畑の栽培ですが、とうもろこしの土づくりや種まきの参考になります。
家庭菜園や農園でとうもろこし栽培を成功させる秘訣!正しい種まきや害虫被対策などとうもろこしの育て方を徹底解説!【農園ライフ】
・苗の植え付け
根を傷つけないようにポットから出し、植えます。とうもろこしは自家受粉もできますが、他家受粉(1つの植物の花粉が異なる株のめしべについて受粉する)が一般的です。そのため必ず複数の株を育て、お互いに受粉させましょう。
・とうもろこしの間引き
伸びてきたトウモロコシの芽が、5cmくらいになったら間引きをします。3本のうち、一番生育の良いものを1本残します。残りの2本は地面ギリギリのところでカットしましょう。
・追肥
植え付けから1週間程度経ったら、定期的(1〜2週間に1回)に肥料を与え、収穫前まで続けます。とうもろこしは肥料を好む野菜なので、忘れずに追肥しましょう。
肥料が直接株に当たらないよう、少し離して播きます。地面に近い葉が枯れ出したら肥料切れのサインなので様子を見ながら追肥してください。
・水やり
1日1回を目安に土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。開花前後や、実が成熟する時期には、多くの水を必要としますので、水切れに注意しましょう。ただし、水のやり過ぎは多湿となり、根ぐされの原因にもなるので注意が必要です。
水やりの時間帯は朝夕の涼しい時間帯がおすすめです。
・とうもろこしの収穫時期と収穫方法
《収穫時期》
とうもろこしの収穫期間は非常に短く、美味しく食べられる収穫時期は3日程度と言われています。実の先が黄色く色づき、ヒゲが茶色くなったら収穫適期です。外皮をむいて、実が適度なかたさになっているか、確認して収穫しましょう。夜のうちに糖分をためるので朝採りがおすすめです。
《収穫方法》
実を握り、手前に下げるようにしながらもぎ取ります。とうもろこしは、収穫直後に味が低下し始めるため、すぐに火を通すか、冷所に保存しておくと良いでしょう。
・とうもろこしの保存方法は?
生のとうもろこしは、皮付きで保存すると美味しさが長持ちします。冷蔵・冷凍の2つの保存方法をご紹介しますので、参照してください。
・冷蔵保存:皮を付けたままキッチンペーパーで包み、野菜室で立たせたまま保存します。(保存目安:2~3日)
・冷凍保存:皮付きのまま、1本ずつラップで包み、さらにポリ袋などに入れて保存します。調理する際は、ラップに包んだまま電子レンジで加熱するか、ラップをはずして茹でます。(保存目安:約2カ月)
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とうもろこしの栽培で気を付けるべき主な病気について
とうもろこしを美味しく育てるために、注意しておきたい病気をご紹介します。
・黒穂病(くろほびょう)
黒穂病は、「ゴール」と呼ばれる光沢のある白いこぶができ、放置しておくと次第に大きくなります。ゴールの内部には黒い胞子が大量につくられ、幼苗期に発病すると枯死します。
●対処法
ゴールを発見したら早期に株ごと除去します。黒穂病の病原菌は、長期間土壌中に残存するため、プランターの場合は翌シーズンに同じ土を使わないようにします。
・すす紋病
すす紋病は、葉に病斑ができます。3cm程度の病斑は次第に10cm程度になり、拡大していきます。葉が裂けやすくなり、葉全体が枯れることもあります。
●対処法
多湿・肥料不足により発生しやすくなるため、水はけがよい状態を保ち、適切な追肥を行いましょう。
・さび病・南方さび病
葉の両面に「鉄のさび」のような色(黄色~赤褐色)をした斑点が生じます。
●対処法
肥料や水の管理が適切でない場合に発生しやすいので、肥培管理、水管理を見直しましょう。
・ごま葉枯病
葉に淡褐色の小さな斑点ができ、次第に拡大します。
●対処法
肥料が不足すると発生しやすいため、追肥を怠らないようにしましょう。また、密植を避け、風通しをよくすることも効果的です。
・すじ萎縮病
茎の節間が短くなり草丈が縮むほか、葉や葉の裏側のすじが隆起して白色〜赤褐色に変色します。
●対処法
虫(ヒメトビウンカ)によってウイルスが媒介されるので、防除対策をしっかり行いましょう。
・倒伏細菌病
倒伏細菌病は、その名の通り、茎が腐敗して折れやすくなる病気です。湿度が高い環境で発生しやすく、梅雨時期は要注意です。
●対処法
水はけのよい環境を整えましょう。
・モザイク病
葉に白色〜淡黄褐色のモザイク状の病斑が生じ、病斑がない緑の部分が盛り上がって歪んだ形になります。放置しておくと、果実にも感染が拡大して中が空洞になったり、繊維分が目立ったりします。
●対処法
アブラムシがウイルスを媒介して発症するので、防虫ネットを利用して苗を保護しましょう。光を反射する銀色マルチの使用も効果的です。また、被害を受けた株に触った後は手を消毒してから他の株に触るようにしましょう。
とうもろこしの栽培で重要な害虫対策について
害虫が発生すると、作物の生育が阻害される他、病気の発生につながる場合もあります。
・メイガ
メイガの一種、アワノメイガによる害虫が一般的です。小さな蛾の幼虫で、とうもろこしの実の中を食害します。対策として、雌花を取る方法があります。
畑での栽培ですが、以下の動画も参考にしてください。
虫鳥獣対策!アワノメイガを寄せ付けないトウモロコシ栽培!害虫・鳥害・アライグマ・ハクビシンの被害を防ぐ!【家庭菜園】【雄花】【雌花】【受粉】
・オオタバコガ
蛾の幼虫で、花のつぼみや果実の中を食害します。
・カメムシ
とうもろこしの実に群がり、汁を吸うことで、実が茶色く変色し形も悪くなります。
・ヨトウムシ
幼虫が茎の内部に潜りこみ、中心からトウモロコシを食害して、葉の萎れなどを引き起こします。
・アブラムシ
群生して葉や茎の汁を吸い、とうもろこしの生育が悪くなる他、ウイルスを媒介して病気を発症することがあります。
・ネキリムシ
植え付けから約1週間後の苗に多く発生し、地面近くの茎を食害します。 茎が完全に噛み切られることもあります。
・対処法
とうもろこしを美味しく育てるために、防虫ネットで苗を保護しましょう。また、種まき・植え付けの時点で、土の中に虫がいないかチェックしておくことも大切です。卵や幼虫を見つけたらこまめに駆除し、必要に応じて市販の殺虫剤を使用するのも効果的です。
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連作障害とコンパニオンプランツについて
とうもろこしは、連作障害が発生しにくいため、後作に適さない野菜はありません。
コンパニオンプランツとして、インゲンや枝豆などマメ科の野菜を植えると、とうもろこしの天敵「アワノメイガ」を寄せ付けなくなるため、おすすめです。カボチャ、キュウリ、リーフレタス、ルッコラとの相性も良いです。ただし、違う品種のトウモロコシを近くで育てると、交雑して味が落ちてしまうので注意が必要です。
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まとめ
以上、とうもろこし(スイートコーン)をプランターで育てる方法について解説しました。とうもろこしは収穫直後が一番美味しいため、もぎたてを食べられるのが家庭菜園の一番のメリット。病気や害虫の対策を知り、適切な予防・対処をすることで、比較的簡単に育てることができるので、ぜひチャレンジしてみてください。
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