さつまいもを上手に栽培する方法。栽培で起こる疑問トラブルも詳しく解説
|目次
■さつまいもはどんな野菜?
・さつまいもの種類
・さつまいもの生育条件
・さつまいもの旬の時期
■さつまいもの栽培から収穫までの手順
・プランターでのさつまいもの栽培に必要なもの
・さつまいもサイズに適したプランターのサイズ
・さつまいもの苗を準備する
・土作り
・さつまいもの植え付けの時期
・苗の植え付け
・追肥
・水やり
・さつまいもの収穫時期と収穫方法
・さつまいもの保存方法は?
■さつまいもの栽培で気を付けるべき主な病気について
・うどんこ病
・帯状粗皮病(おびじょうそひびょう)
・黒斑病(こくはんびょう)
・立枯病(たちがれびょう)
・つる割病(つるわれびょう)
・斑紋モザイク病(はんもんもざいくびょう)
・基腐(もとぐされ)病
■さつまいもの栽培で重要な害虫対策について
・ヨトウムシ
・アブラムシ
・カメムシ
・コナジラミ
・ハダニ
・対処法
■連作障害とコンパニオンプランツについて
■さつまいもの栽培で悩んだら、菜園アドバイザーに相談してみよう
■まとめ
さつまいもは煮物やてんぷらなどの料理だけでなく、干し芋やスイートポテトなどおやつにも重宝する野菜です。
乾燥や高温に比較的強く、やせた土地でも育ちやすいため、初心者向けの野菜のひとつとして家庭菜園で栽培する人も少なくありません。
また、畑で育つイメージを持たれるさつまいもですが、プランターでも十分に育てることができます。
この記事では、初心者でもできるさつまいもの栽培について詳しく解説していきます。
さつまいもはどんな野菜?
さつまいもの原産地は中南米で、ヒルガオ科サツマイモ属の根菜類です。
東南アジアから中国を経て、17世紀頃に沖縄・九州に伝わりました。
さつまいもは炭水化物が多く、ビタミンCやβカロテン、カリウムなど豊富な栄養素が含まれています。
やせた土地でも十分に育つことから、江戸時代の飢饉や戦中戦後の食糧難の時代に多くの人の命を救う食糧となりました。
さつまいもの自然な甘味は、日々の料理やおやつにも活躍する野菜として人気です。
・さつまいもの種類
さつまいもは、現在栽培されているものだけでも、40〜60ほどの品種があります。
店頭などでよく見かけるのは、ベニアズマ(紅あずま、べにあずま)です。
青果用のさつまいもとしては、国内シェアNo.1を誇る人気の品種です。
その他の品種をいくつか紹介します。
・安納紅(安納いも)
鹿児島県の種子島が特産で、ネットリ系のコクがある甘みが特徴です。
・べにはるか
糖度が高くて安納紅のようなネットリ感があり、料理やお菓子にも幅広く対応できる万能な品種です。
・高系14号(鳴門金時・紅さつまなど)
主に西日本で栽培されていますが、全国各地に品種改良されたものがたくさん存在しています。
・アヤムラサキ
発色が良く濃い紫色が特徴で、その見栄えを利用したペーストや彩り野菜として活用されています。
・シルクスイート
シルク(絹)のように滑らかで甘く、スイーツのような食感で人気の高い品種です。
・クイックスイート
電子レンジで加熱するだけで、一般的なさつまいものように甘く、手軽に調理できます。
育てやすいさつまいもは、たくさん収穫ができる、強くて丈夫な「ベニアズマ」や、やせた場所でも育ちやすく関西地方で人気のある「鳴門金時」です。
さつまいもはいずれの品種も比較的育てやすいので、好みの食味や、さし苗の手に入りやすさで、育てる品種を選んでも良いでしょう。
・さつまいもの生育条件
さつまいもは水はけと通気性の良い環境を好みます。
高温や乾燥に強く、栄養分の少ない土地でも元気に育つことができます。
・さつまいもの旬の時期
植え付け時期や天候などに左右されますが、9月から12月頃がさつまいもの旬です。
さつまいもは収穫後に常温で保存できるため、一年を通して市場に流通しています。
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さつまいもの栽培から収穫までの手順
さつまいもは、水はけの良いやせ地を好みます。
さつまいもの苗として流通している「さし苗(挿し穂)」を用意し、植え付けに必要な準備をします。
家庭菜園でさつまいもを育てるには、プランターと畑のどちらでも育てられますが、ここでは、ベランダなどで気軽に始められるプランターでの栽培方法について解説します。
・プランターでのさつまいもの栽培に必要なもの
家庭菜園でプランターでさつまいもを育てる場合、下記の準備が必要です。
・さつまいもの苗
・大型のプランター
・野菜用培養土
・鉢底石
・移植ごて(小型の園芸用シャベル)
・園芸用ハサミ
・さつまいもサイズに適したプランターのサイズ
さつまいもはつるの生育が旺盛なため、畑で栽培する際には、畝の幅を70~100cm程の広さを用意することが多いです。
そのため、プランターで栽培する場合は大型かつ深型サイズ(1つの苗につき、深さ:30㎝、奥行き:30㎝、幅:65㎝以上が望ましい)を選ぶと良いでしょう。
浅く植え付けると、さつまいもとなる根が十分に地中で伸びず、収量が減ってしまいます。
・さつまいもの苗を準備する
じゃがいもや里芋は種芋の植え付けから始めますが、さつまいもの苗は「挿し穂」や「挿し苗」と呼ばれる「つる」の部分を使うのが一般的です。
長さは30~40cmつるの先端は7~8節ほどを切ったものが多いです。
苗は5月頃から出回り、園芸店やホームセンターなどで手に入ります。
さつまいもの収量や食味を良くするには、良い苗を選ぶことが大事です。
[さつまいもの良い苗の条件]
甘くて美味しいさつまいもを収穫するためにも、良い苗選びが重要です。
茎が太くてしなやかで、葉が5〜6枚ついている丈夫な状態の苗を選びましょう。
葉が厚くて広く、濃い緑色をしているものは元気な証拠です。
節と節の間隔が空きすぎずにしっかり詰まっていて、節数が4〜5節ほどあり、長さが15〜20cm以上のものを選びましょう。
・土作り
さつまいも栽培の土壌は市販の培養土でかまいません。
栽培に適した土壌は5.5〜6.0pHとされます。
自分で土作りから始める場合は、「赤玉土4:堆肥3.5・腐葉土1.5:バーミキュライト1」を混ぜ合わせたものに、石灰(用土10リットルあたり10g)などを加えると良いです。
痩せた土地で生まれたさつまいもは、肥料成分を吸収する力が非常に高いです。
そのため、追加肥料は最小限とします。
肥料の量が多いと、「つるぼけ」の原因となるので、注意が必要です。
つるぼけとは、肥料が多いことでさつまいもの葉茎ばかりに栄養が行き渡ってしまい、実が肥えず、味も美味しくありません。
同じプランターで前作で別の作物を育てていた場合は、肥料が残っているため無肥料で育てるのが好ましいです。
・さつまいもの植え付けの時期
お住まいの地域によりますが、平均気温が18℃以上が植え付けに適した時期です。
地温15℃以上となる5月中旬から6月中旬頃が適しているとされます。
・苗の植え付け
植え付けをする直前に苗を水にさらします。
こうすることで水分を吸収して苗に張りが出ます。
プランター(奥行30㎝×深さ30㎝×幅65㎝程度)の場合は、植え付けられる苗は2~3本程度です。
プランターの底に鉢底石を約2㎝並べ、培養土をプランターの深さの8分目まで入れて平らにならします。
代表的な植え付けの方法を4つ紹介します。
「斜め植え」は斜めに植える、短い苗に適した方法です。
「水平植え」は平行に植えます。5〜10cmほどの深さの溝に植え、苗の先端部分のみ地上に出します。長い苗に適した方法です。
「船底植え」は苗の両端のみを浮かせ、横に船の形のような形で植える方法で、多くの収穫量が見込めます。
「垂直植え」は垂直に突き刺すように植える、手間がかからない方法です。収穫量は少ないですが、一つあたりの実が大きいのが特徴です。
深さに比例して収穫量も増えます。植え付け後は水をたっぷり与えるようにしましょう。
生長点と葉は地上に出し、10日ほどは、乾燥させないように水やりをします。
・追肥
植え付け後1カ月間は、つるボケの原因となるため追肥を控えましょう。
さつまいもは植え付けから90日程度を経てイモが肥大化していきます。
つるの伸びが悪く、葉色が淡すぎるときには追肥を行うと良いでしょう。
7月~9月の高温になる時期は葉っぱが黄色くなっていないか確認し、生育状況をみてボカシ肥などを与えるとよいです。
・水やり
苗が根付くまでの約1週間は、毎日朝に水やりをしますが、その後は土の表面が乾燥した都度、水やりをします。
畑は雨で十分な水分を取れるため、基本的には水やりの必要はありませんが、プランターでは、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。
真夏にしおれそうな葉が丸まった状態は水不足のサインです。
鉢底から水が出るくらいたっぷりと水を与えましょう。
水やりは、午前中の涼しい時間帯に行うと良いです。
・さつまいもの収穫時期と収穫方法
・収穫時期
さつまいもの収穫時期は、9〜12月頃になります。
約110〜150日が植え付けから収穫までの目安です。
ただし、その年の気候や生育環境、さつまいもの品種によっても収穫時期は異なります。
収穫のタイミングは、さつまいもの葉っぱを見て判断しましょう。
9〜12月頃にかけて、これまで緑色だった葉が枯れはじめ、黄色く変化したら収穫のタイミングです。葉が枯れはじめたら、栄養がさつまいもに行き届いたサインです。
収穫は晴れの日の朝が適切です。
早朝に収穫すれば、その後に畑で天日干しができます。
濡れた状態ですぐに保存すると腐ってしまいます。
・収穫方法
収穫の妨げになるつるをあらかじめカットしておきます。
さつまいもの根本周辺をスコップで軽く株元の土を掘り起こし、やわらかくします。
そのまま掘り進めてしまうと、さつまいもを傷つけてしまうので、手に軍手をつけて掘りすすめます。
さつまいもの周囲の土を取り除いて収穫しましょう。
収穫後に常温でしばらく乾燥させれば、収穫完了のサインです。
さつまいもは追熟させてからのほうが甘味が増します。
1週間ほど追熟してから食べると良いでしょう。
ただし、傷のついたさつまいもは腐りやすいので、貯蔵せずに早めに食べるのが良いです。
下記の動画も参考になります。
大きなサツマイモが家庭菜園でゴロゴロ収穫出来る!?さつまいも栽培で太い芋に育つ5つの栽培のコツ!つる返しを実施した結果も紹介!金時芋を大量収穫【農園ライフ】
・さつまいもの保存方法は?
さつまいもは基本的に常温保存します。
13~15℃の直射日光や暖房のあたらない冷暗所など、温度変化の少ない場所が適しています。
家庭でできる手軽な保存方法は、さつまいもを一本ずつ新聞紙で包み、通気性の良い麻袋やかごなどに入れます。
ただし、蒸し暑い時期は常温に置いておくと腐ってしまう場合があるので、野菜室での保存がのぞましいでしょう。
冷蔵庫など5℃以下の場所は、さつまいもにとって温度が低すぎ、低温障害を起こしてしまうため注意が必要です。
細胞が寒さで死んでしまい、黒く変色してしまいます。
甘さが損なわれて苦味が出てしまうため、万が一変色した部分が出てきたら、取り除いて調理するとよいでしょう。
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さつまいもの栽培で気を付けるべき主な病気について
さつまいもを栽培する上で、発生し得る主な病気を紹介します。
・うどんこ病
葉にうどんの粉のような斑点が見られる病気です。斑点が広がると光合成が止まり、生長しなくなります。晴れと雨が続いたりするとまん延する傾向にあります。
・帯状粗皮病(おびじょうそひびょう)
モモカアブラムシによって媒介される、さつまいも特有の病気です。
葉と葉の間に淡黄色の小斑紋が発生し、周囲が紫色に変色します。
・黒斑病(こくはんびょう)
カビによって引き起こされ、黒い斑点ができ、感染を引き起こします。収穫時だけではなく、保存時にも発生する恐れがあります。
・立枯病(たちがれびょう)
土壌感染する病気なので根に被害が及び生育不良となり、やがて株が枯死します。
・つる割病(つるわれびょう)
土壌中の糸状菌によって、根の傷などに菌が侵入し、発症を引き起こします。
・斑紋モザイク病(はんもんもざいくびょう)
モザイクのような黄色い小斑点が葉脈間に発生する病気です。
・基腐(もとぐされ)病
雨などの原因によって感染が広がるカビによる病害です。茎からどんどん腐敗し枯死していきます。
水が溜まった場所などが原因で病害が発生しやすいので、風通し良くすることを心がけましょう。
病状の葉や株は見つけた時点で除去すると被害を抑えられます。
さつまいもの栽培で重要な害虫対策について
さつまいもを栽培する上で発生しやすい害虫の予防・対策を紹介します。
・ヨトウムシ
9〜10月頃に発生しやすく、夜間に葉を食害します。葉に穴が空いている場合は、ヨトウムシに食害されている可能性が高いです。
・アブラムシ
葉の裏に発生する黄色や黒色の小さな虫が吸汁します。
・カメムシ
茎や新梢を吸汁して、葉が萎れて生育に悪影響を及ぼします。
・コナジラミ
白い虫が葉裏を吸汁し、被害が進行すれば退色や生育障害が起きます。
・ハダニ
吸汁被害をもたらし、葉の表面に白い斑点ができます。多発すると、葉が糸に覆われて枯れます。
・対処法
害虫が繁殖する前に、発生の早い段階から駆除しましょう。
雑草管理などをすることで害虫の侵入を防ぐことができます。
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連作障害とコンパニオンプランツについて
さつまいもは基本的に後作にしない方が良いという野菜はありません。
しかしアブラナ科の野菜、特にカブとはあまり相性が良くないです。
同じ場所でヒルガオ科の野菜を栽培する場合は、最低でも1~2年の期間を空けるようにすると良いでしょう。
「コンパニオンプランツ」とは、今育てている野菜のそばに一緒に植えることで害虫が寄り付かない等、お互いにとって良い影響をもたらすことです。
さつまいものコンパニオンプランツとして相性がいいのは、赤ジソやマメ科の作物、なすなどがあります。
赤ジソは、さつまいもの代表的なトラブル「つるぼけ」を防ぐ効果があり、赤じそが土の中の肥料を吸収し、栄養過多や害虫を防いだりします。
マメ科の作物として、つるなしササゲ、つるなしインゲン、エダマメなどがあり、さつまいもと同様にやせた土地でも元気に育ちます。
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まとめ
本記事では、家庭菜園でさつまいもを育てるのに必要な基礎知識から栽培・収穫のコツなどをまとめました。
さつまいもの基本情報、栽培方法、病気・害虫対策などの正しい知識があれば、初めての家庭菜園でも安心して育てることができます。
さつまいもは品種ごとに個性があるので、色々な品種を栽培するのも良いでしょう。
そして、どの品種も家庭菜園するのに難しくないので、初心者にオススメな野菜です。
ご家庭で育てる際は、プランターなど必要な道具を用意しなければなりませんが、準備したくない方や大きな畑で栽培してみたい方は、シェア畑を利用してみるのもオススメです。
ぜひさつまいもの栽培を楽しんでください。
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