りょうくん(5)のパパ(48)が、横浜市旭区の自宅ポストに投函された「ベジトレ」の広告を手にしたのはつい最近のこと。「見て、触って、子どもの野菜ぎらいを克服する」という文字に目がとまった。
「ベジトレ」とはなんだろう。野菜に親しむ子どもを増やす取り組みのことで、ベジタブル・トレーニングの略だ。食品メーカーのカゴメがこうした活動に力を入れるなど、子育て世代の間で知られるようになってきた。筆者が属するアグリメディアも、野菜の収穫体験、カラフルな野菜のスタンプ遊び、採れたて野菜を使った食事をパッケージプランにしたベジトレを横浜市と川崎市の農園で開催している。きょうの主人公であるりょうくん一家は7月末、アグリメディアが「シェアファーム二俣川」(横浜市旭区)で開いたベジトレに参加した。
なぜ参加しようと思ったのだろう。りょうくんのパパはこう語ってくれた。
「スーパーの売り場には野菜がきれいに並んでいますよね。その野菜が土から採れたっていうことを、子どもは知らないんですよね。親としてどうかなと思って」
都会に住む親御さんなら、同じ感覚をもったことがあるかもしれない。都会はびっくりするくらい、自然の営みを学べる場がすくない。ひごろ口にしているモノの成り立ちを知る機会はほとんどない。
話が脱線して恐縮だが、筆者は最近、ある若手ビジネスマンと農業について話していたとき、”都会っ子の危うさ”を感じたことがあった。かれのことばを紹介したい。
「植物工場って、農業の救世主だと思うんですよね。自然災害に左右されず作物をつくれるわけでしょう。疑問なのが、植物工場ではレタスぐらいしかつくっていないってことですよ。なんで、他の野菜もつくれないんですか。おかしいでしょう。バイクはつくるけど、車はつくらないみたいな。誰かが邪魔しているのですか」
そもそもレタスのような葉っぱと、ダイコンやニンジンのような根っこは適した環境がちがう。植物の多様性を肌感覚として知らないから、つい極端なことを口走ってしまう。ベジトレの大切さはこのあたりにもあると思う。
りょうくんに話を戻そう。
「フチが白いナスがおいしいよ。とってごらん」。農園スタッフのおじさんのアドバイスをもとに、りょうくんが大きくなったナスに手を伸ばす。真剣なまなざしだ。夏のきらきらした日光が小さいかれの身体いっぱいに降り注いでいるようにみえた。
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