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宮内 さん(利用者ライター / 読書アドバイザー)

【食育に役立つお野菜の絵本たち】もういいかい? まあだだよ。 /平山 和子 作『いちご』

【食育に役立つお野菜の絵本たち】もういいかい? まあだだよ。 /平山 和子 作『いちご』
いちごが大好きというお子さんは多い。
おとなだって、いちごが好きという人はたくさんいます。

なんといっても、赤い実がかわいいですもの。それに、とってもおいしい。
いちごは、春を代表する野菜です。

「えー? いちごって、果物じゃないの?」

いいえ、いちごは野菜なんですよ。
毎年苗から育てるので、野菜に分類されています。

しかも、いちごはバラ科のやさいですから、あの赤い色がステキなのもわかるような気がします。

今回はそんないちごが育っていくようすを描いた、ずばり『いちご』という絵本を紹介しましょう。

書いたのは、平山和子(ひらやまかずこ)さん。
食育絵本_平山和子作_いちご
■絵本名:いちご
■作者:平山 和子
■出版社:福音館書店
■ISBN: 978-4-8340-0834-0


それは、こんなお話です。

最初に地面にはうように葉をひろげた苗が描かれています。なかには、枯れた葉もまざっています。

「わたしは いちごです」

え?! この苗が、いちご? なんだか信じられません。

ページをひらくと、いちごの苗が雪にうもれています。
だいじょうぶでしょうか。

いちごの苗だって、「はやく あたたかく ならないかな」って待っています。
やがて、春がきて、あたたかくなると、白いかわいい花がさいてきました。
いちごの白い花

ほら、ほら、見てごらん。

ちいさな実がついてきました。
そして、あちらこちらから、真っ赤ないちごが、顔をだします。

「あまいですよ」「さあ どうぞ」「さあ どうぞ」

お皿いっぱい、いちごがとれました。


この絵本の素晴らしいところは、なんといっても、絵。

葉の枯れたようすとか雪にうもれた姿、青い小さな実がつきはじめた春早い頃のいちご、そして真っ赤な実。

とても丁寧に描きこまれています。
きちんと観察して描かれているのでしょうね。

それに、この絵本では、いちごの特性がちゃんと描かれているんですよ。

絵本の中に「いちごのみは あたたかくなったら なりますよ。それまで まっていてね」という文があります。

実は、いちごは冬のあいだ眠っている野菜なのです。
なんだか、まるでクマさんの冬眠みたいですね。

そして、あたたかい春、「あーあー、よくねた」って目をさまします。
三月の頃のいちごは、ちょうど目をさましたばかりかもしれません。

だから、いちごの赤い実が見られるまで、もう少し。

「もういいかい?」「まあだだよ」

それまで、この絵本を読んで、楽しみにまっていてくださいね。


※参考
・『家庭でできるおいしいイチゴづくり 12か月』(荻原 勲・家の光協会)
・『Q&A 野菜の全疑問』(高橋 素子・講談社)



これまでの記事はコチラ
>【食育に役立つお野菜の絵本たち】みんなで、うんとこしょ どっこいしょ/ロシアの昔話(A.トルストイ)『おおきなかぶ』

>【食育に役立つお野菜の絵本たち】わらのはちまきを巻いた小さな白菜の物語/くどうなおこ作『ちいさなはくさい』

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